和太鼓×映画 「藍に響け」 和太鼓の視点で解説!④ 細かな和太鼓へのこだわり

poster ブログ

 これまで3回にもわたって和太鼓の視点で解説してきました映画「藍に響け」

今回で最終回を迎えます。前回は「和太鼓あるある」という形で解説していきました!

最終回の今回は、作中で登場した和太鼓へのこだわりについて解説していきます。

 

※映画のネタバレを含みますのでご注意ください。


 

 

 

音へのこだわり

 和太鼓×映画 「藍に響け」 和太鼓の視点で解説!①でも少し触れましたが

今回の映画では、「」へのこだわりが素晴らしかったです。

運営者が素晴らしいと思った点を解説していきます。

  1. 遠くから聞こえる太鼓の音
  2. 1打の打った時の音
  3. 「ズレ」に対する音
  4. 映画館内での音

 

1、遠くから聞こえる太鼓の音

主人公の環が最初に和太鼓の音を聞くシーン

 父親の会社が倒産し、続けていたバレエも辞めざるを得なかった環が

学校の帰りに遠くから聞こえる和太鼓の音、振動に揺れる水面に誘われて

和太鼓部の練習場所へ吸い寄せられていく。

こちらのシーンでのこだわりを感じたのが「遠くから聞こえる音」です。

実際に、和太鼓の音を遠くで聞いた経験があると思います。

「何か、どこかで音が鳴っている・・・太鼓の音かな?」

この場面で聞こえたような音が映像を通してもリアルに伝わってきます。

 

本作の録音・整音を担当しているのが岸川達也さん。

近年に携わった作品にドラマ「本気のしるし」、映画『飢えたライオン』、『海を駆ける』

ソローキンの見た桜』などがあります。

映画『海を駆ける』予告編

 

様々な作品に携わったプロだからこそ、遠くから聞こえる音をいかに拾って

スピーカーを通してもリアルに伝えることが出来るのではないでしょうか。

  

2、1打の打った時の音

 本作は、和太鼓部のメンバーが和太鼓を通じて成長していくことも物語のテーマとなっています。

その為、和太鼓から奏でられる音に着目するシーンがあります。

 

中でも、「1打打った音はどういうものなのか」をしっかりと伝える場面が登場します。

  • 筒井真理子さん演じるシスターニッチェが和太鼓部のメンバーへ向けて
  • 吹越満さん演じる江守雷太が合宿で主人公環へ向けて

それぞれ同様に、太鼓の1打とはどういう音なのか。そういった指導の意味で打つ場面があります。

作中では言葉での説明をする描写はありませんでしたが、音の違いを感じ取ることができるシーンとなっています。

 

和太鼓の1打の音はとても重要です。たった1打で見ている人の視線や興味を惹くことが出来ます。

特に、演奏の場面では最初に奏でられる1音がとても大切になってきます。

その演奏の良し悪しを决めると言っても過言ではありません。

 

映画では、その重要性を伝えるために上記の2場面があるのですが、

どちらも音の違いがよくわかるように工夫されて表現されています。

太鼓の芯を捉えた音、観客にも伝わる音の深みが表現されています。

 

3、「ズレ」に対する音

和太鼓に限らず、楽器の演奏をする時や音楽に合わせて踊るなど

音に合わせることは誰しも経験があるのではないかと思います。

そのような場面において音と合わせられず「ズレた」と感じたことはありませんか?

多くの皆様が一度は経験があるのではないでしょうか?

 

和太鼓においても同様で、特に和太鼓の演奏ではクラシックのように「指揮者」がいないので、

演奏者同士がリズムやテンポを合わせて作り上げていかなければいけません。

 

本作では、和太鼓の演奏にある「ズレ」の表現を見事に表現しています。

 

  • 主人公環の和太鼓部入部前〜入部直後

主人公が入る前の和太鼓部はみんなの音を合わせる事、気持ちを大切にしてはいましたが

曲を伝える、という点が意識の中から抜け落ちていました。

 

  •  ニッチェ先生の顧問就任後〜初の外部演奏

環はプライドが高く、向上心が強いこと、また幼少期から続けていたバレエの影響で、

努力を怠ることがなく、みるみる成長していきました。

全員で努力していく中でコーチとして更なる目標の為にシスターニッチェに顧問への就任を要請し、

その熱意に承諾するのですが、就任後はこれまでとは比べられないような厳しい練習が

繰り広げられていきます。

これまでとのギャップに心が折れそうになる部員や部員たちの仲が離れていってしまいます。

そんな中で、外部での演奏イベントに参加するのですが、その演奏の中でテンポが合わず失敗に終わってしまいます。

 

この場面での「ズレ」はテンポが合わなかったことで起こったのですが、部員それぞれの

心が離れていることも表しています。

最初は、小さな「ズレ」が徐々に大きくなっていき修正が出来ない状態に巻き込まれていく。

そんな様子が繊細に表現されていました。

 

4、映画館内での音

 本作は和太鼓の音に関して実際に聞こえる音を感じてもらえるように工夫がなされています。

和太鼓の「ドーン」という音と振動や余韻に至るまで映画館にある高性能なスピーカーで再現されています。

和太鼓の演奏シーンも音の差し替えがないので、スクリーンの中で奏でる和太鼓の音と想いを感じる取ることが出来ます。

ぜひ、映画館で見ることをオススメします!

 

衣装へのこだわり

 和太鼓の演奏を実際にご覧になったことはありますか?

見たことがある方であれば、和太鼓団体が様々な衣装を纏っていることがわかるかと思います。

本作でも、和太鼓の衣装が登場します。ので、まずは映像をご覧ください。

映画『藍に響け』和太鼓演奏シーン

こちらの本編映像で着用している衣装は、現代の和太鼓業界では珍しい衣装というわけではありません。

和太鼓部の演奏シーンの衣装は

ノースリーブの上半身、裾が広がった袴風の下半身

また、プロ和太鼓集団「雷鼓音」が着用している衣装は

黒一色の鯉口シャツ、ストレートのズボン

どちらも、和太鼓の演奏を邪魔しすぎず、演奏コンセプトにあった衣装になっています。

 

和太鼓プロ集団「雷鼓音」の衣装を担当した、オリジナル太鼓衣装ドドーンさんがブログで解説しています。

 気になる方は、見てみてください。

 

 映画「藍に響け」は和太鼓業界にとって、多くの皆様に和太鼓の魅力を知ってもらう機会となっています。

これから公開する劇場もあるので気になる方はぜひ!映画館でご覧ください。

 

映画「藍に響け」

出演:紺野彩夏 久保田紗友 他

監督:奥秋泰男

原作:すたひろ「和太鼓†ガールズ」

 

映画公式サイトはこちら

コメント

タイトルとURLをコピーしました