前回のブログから「和太鼓」について紹介しています。今回は「長胴太鼓」について分かりやすく解説してきます。
長胴太鼓(ながどうだいこ)とは?
みなさんが一般的に「和太鼓」と聞いて思い浮かべるのはこの太鼓ではないでしょうか?
こちらが「長胴太鼓」と言います。(「宮太鼓」と呼ばれたりもします。)
作りとしては木で出来た胴に牛の皮を強い力で張ったものになります。
お祭りのやぐらの上で盆踊りに合わせて打っている太鼓は「長胴太鼓」になります。
長胴太鼓は何でできているの?
長胴太鼓といっても様々なものから構成されています。以下の画像を見て下さい。
長胴太鼓を作るには、「胴」「皮(革)」「鋲」「カン」の4種類が必要となってきます。
「胴」は木で作られています。「皮」は牛の皮を加工して作っています。
「鋲」や「カン」は鉄でできています。
それぞれの詳しい説明をこの後していきます。
また、太鼓の大きさを表すものとして尺寸の表記が使われます。
尺寸の表記は住宅などの設備に詳しい方はご存知かと思います。
尺表記の単位としては「厘」「分」「寸」「尺」「間」など様々ありますが、
和太鼓での表記では「尺」「寸」こちらの2種類を覚えていれば大丈夫です。
尺 | 寸 | メートル | 備考 |
0.1尺 | 1寸 | 3㎝ | |
0.3尺 | 3寸 | 9㎝ | |
1.0尺 | 10寸 | 30㎝ | |
1.6尺 | 16寸 | 48㎝ | 約50㎝ |
2.0尺 | 20寸 | 60㎝ | |
2.5尺 | 25寸 | 75㎝ | |
3.0尺 | 30寸 | 90㎝ | |
3.3尺 | 33寸 | 99㎝ | 約100㎝ |
こちらの早見表は尺寸表記と、みなさんが慣れているメートル表記を分かりやく表にまとめたものです。
実際の長さとしては、1寸=10/330m=3.030303…㎝となるのですが、
ここでは簡単に 1寸=3㎝、1尺=30㎝ という認識で構いません。
では、長胴太鼓を構成する、それぞれの要素について解説していきます。
太鼓の胴はどうなっているの?
ダジャレですね。(笑) 長胴太鼓の要である。「胴」について解説していきます。
太鼓の胴は木で出来ています。(見た目通りですね。)
では、その太鼓がどんな木で出来ているかを考えたことはありますか?
和太鼓の経験がある方でも、自分自身で購入したことがある方は少ないのではないのでしょうか?
長胴太鼓の胴は1本の木をくり抜いて作られています。
胴に使われる木は同じ販売会社でも様々な種類を扱っていたりします。
太鼓の胴に使われる木材の主なものとして「欅(ケヤキ)」が使われます。
長胴太鼓の胴の材料としては最も良いものとされています。
理由としては、木材の材質として日本全国に分布していること、木目が綺麗に出ること、
耐久性にも優れている事、胴の反響がいい事などが挙げられます。
他にも、目有材と呼ばれる「タモ」・「栓」・「栃」などがあります。
こちらの太鼓は欅の太鼓とは違った音を奏でます。
長胴太鼓の胴は完成まで3年以上の月日を要します。
くりぬきの胴は太鼓の大きさの分だけの太さがある木が必要となるので
大きな太鼓ほど価格が高くなります。
例えば、欅胴の1.6尺の長胴太鼓で80万円程度します。
80万円⁉︎ 和太鼓ってこんなに高いの?
これは買えないよ…
高い太鼓もあるけど、もっと気軽に買える太鼓もありますよ
和太鼓に使われる欅が育つには200年以上の時間が必要になります。
その為、年々欅の木が少なくなってきている影響もあり値段が高くなっています。
その為、近年では木の板をタル状に貼り合わせて作る「集成胴(合わせ胴)」の太鼓を
販売していたりします。(使ったことがある方もいるのではないでしょうか?)
1本の木ではないので、比較的安価で販売したりしています。
木の板をタル状に貼り合わせて作った「集成胴」の太鼓は、価格もくりぬき胴の太鼓の
1/10程度だったりするので、多くの方にも気軽に購入できるようになっています。
「集成胴」の太鼓ってどうしてこんなに安いんだろう?
ひょっとして、すごく悪いものだったり・・・
もしかたらこう感じる方もいるかと思いますが、そんなことはありません。
集成胴の太鼓とくりぬき胴の太鼓値段の一番の違いは「胴」にあります。
くりぬき胴 | ←両者の違い→ | 集成胴 |
---|---|---|
欅やタモ | 木材 | 松や楡 |
くり抜く | 胴の作り | 張り合わせ |
200年以上 | 材料が取れるまでの時間 | 20年以下 |
こちらの表の中で最も値段に関わってくるのが材料が取れるまでの時間です。
原料の木材が取れるまでの時間がそのまま値段となっています。
値段の差がそのまま材料の違いになりますね。
値段には差がありますがそれぞれにあった魅力があるので一概にどちらかが
悪い商品だというわけではありません。
音の良し悪しや高低差は「革」とその張り方、気温や湿度によって大きく変化していきます。
みなさんも、様々な会社の太鼓に触れられる機会があれば体感してみてください。
次回は長胴太鼓の解説②です。
コメント